今回はタイトルにある通り、職人は急こう配での塗装作業はどのようにやっているのか?そこを少し紹介できたらと思います。
というのも、今現在たまたま急こう配の作業を行っている最中で、リアルタイムでの作業なので情報をまとめやすいというので記事を書き起こしました。では早速職人の現場でのやり方を紹介していきます。
そもそも急こう配とは何のこと?
もしかしたらすでに急こう配って何か知ってるよ?という方がいるかもしれませんが、知らない方に向けて少しだけ説明させてください。
急こう配は簡単にいうと、人が立っているのが難しい地面やら足場を急こう配と言います。
なるほど、急こう配は人が立てないのね!えっ?そんなところで仕事できるの?ということで、次はどのように仕事するのか紹介しますね。
急こう配での塗装作業に必要なもの
まず急こう配で塗装作業をするためには、人が滑り落ちずにその場にとどまっている状態を作る必要があります。私たちの会社では、職人がぶら下がってその場をキープするようにしています。
人がぶら下がる?なんだか危なそう。そんな印象を持ちますよね。簡単にいうとロッククライミングとかをイメージしてもらえればわかるんですが、ロッククライミングしている人は、ロープで自分を吊った状態で岩肌に立っていたりしますよね?あれと同じ状態を急こう配で行います。
そこで人がぶら下がるために使用する道具は次のものです。
上で紹介した4つを使用して急こう配で作業します。人の位置から考えていきましょう。まず急こう配で人がぶら下がるためには、ぶら下がる仕組みが人に取り付けられている必要があります。それが先ほど紹介したぶら下がるためのバンドです。(傾斜面作業用ベルトと言うそうです)そして、バンドを吊るためのロープが必要になります。これが子綱です。子綱は次に紹介する親綱に比べて長さが短いのが特徴です。子綱が短いのは、作業の取りまわしをしやすくするためです。
子綱を紹介しましたが、子綱をつなぐためのロープも必要です。ここで登場するのが親綱というわけです。親綱は親というだけあって子綱よりも長く、私たちの会社で持っているのは30メートルある親綱を使用しています。ちなみに子綱は親綱の半分で15メートルくらいのものを使用しています。
親綱まで紹介しましたが肝心な親綱の固定がまだですね!ということで現場が変わっても持ち運びできるように移動可能な重しの登場です。ちなみに急こう配で人がぶら下がることができる重しは30キロ~40キロ程度を目安にしてください。
ちなみに重しは普段からお世話になっている近所の鉄工所さんに作成してもらった鉄骨の重りを使用しています。持ち運びを考慮して1個15㎏の重しを2つ一緒に固定して、1本の親綱に2つの重し(30kg)で使用しています。
これでぶら下がる準備ができました。
設置場所や現場によっては先ほど紹介した重しのキロ数では不足している場合もあるかもしれません!
重しにロープの親綱を固定したら仮に引っ張って重しが浮かないか確認してから作業するようにしましょう。万が一重しが浮くような状態で作業をすると、すぐ人が落ちてしまい命にかかわります。
もう一度復習しましょう。
- ぶら下がるための重し(30~40キロ)を設置
- 設置した重しに親綱(30メートル程度)を固定
- 親綱を引っ張って重しが浮かないか確認
- 親綱に子綱(15メートル程度)を固定
- 子綱にバンドを固定
最後に
今回は急こう配で職人が作業するための足場の確保方法を紹介してきました。ある程度現場数をこなした上での紹介になりますが、初めて急こう配で作業するという方の場合には、しっかりと安全確認を徹底して作業するようにしましょう。
安全確認をおろそかにした結果、命を危険にさらす人もいます。また年間で何人か急こう配や勾配がある足場で作業して落下したニュースもあるので作業は十分気をつけて行いましょう。