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【塗装職人が実践する】正しい刷毛の持ち方を紹介

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意外に知らない人も多いのではないかと思う、正しい刷毛の持ち方を紹介していきます。

それを紹介する私は塗装歴11年目になり、1級塗装技能士を持っている現役の塗装工です。私自身も見習い時代にたくさん失敗した経験もあるので、そんな情報も踏まえて今回紹介を進めます。

正しい刷毛の持ち方以外にも、ダメな持ち方も合わせて紹介しています。どちらの持ち方についても、その理由も紹介しているので参考になるかと思います。

ではさっそく職人が持つ刷毛の持ち方から紹介していきます。

塗装職人が実践する刷毛を持ち方

塗装職人が実践する刷毛の持ち方は、正しいペンの持ち方や箸の持ち方に近い持ち方をします。

この持ち方をすることによるメリットと、デメリットがあるのであわせて紹介します。まずは塗装職人が持つやり方のメリットから紹介します。

塗装職人が持つやり方のメリット

塗装職人が持つ刷毛のやり方によるメリットは、次の3つがあげられます。

塗装職人のやり方によるメリット
  1. 刷毛の操作性が向上
  2. 刷毛に使う力の量が少なくて済む
  3. 塗料によって手元などが汚れない

それぞれ少しだけ解説しますね。まずは刷毛の操作性が向上することについてです。

刷毛の操作性が向上

刷毛の持ち手の末端部分(毛先から一番遠いところ)を持つことで、刷毛の操作量が小さくて済みます。

操作量が小さくなる理由は、刷毛の持ち手は毛先に行くほど太くなっていきます。逆に毛先から離れるほど、持ち手が細くコンパクトに作られています。

マツ
マツ
太いものを1周回すのと、細いものを1周するのでは細いものの方が操作量が少なくなるんですが、伝わりますでしょうか?

なので一番毛先から遠い末端を持つことで、刷毛の操作量が減って操作性が高くなるということです。

次に、刷毛に使う力の量が少なくて済むことについて紹介します。

刷毛に使う力の量が少なくて済む

刷毛に使う力の量が小さくて済むことは、刷毛の操作性が向上することとほぼ同じ理由で、小さくなっています。詳しく説明しますね。

「テコの原理」は知っていますか?

力の入れる箇所(支点)を変えることで、必要になる力の総量が変化する原理のことです。

マツ
マツ
刷毛でも毛先を操作するために、「テコの原理」を利用することができます

毛先から一番遠い位置で力を入れることで、持ち手でつながっている毛先に大きな力が伝わって、刷毛を操作することになります。

結果として、刷毛を扱う人はとても少ない力でも毛先に対して大きな力をかけることができるということです。

末端部分を持った場合
毛先側を持った場合

次に、塗料によって手元などが汚れないことについて紹介します。

塗料によって手元などが汚れない

塗装職人といえば、服がペンキまみれの印象が強いですね。ただ技術の高い職人になるほど、衣類や手袋などが汚れなくなることは知っていますか?

刷毛の扱い方によって刷毛の持ち手や手袋が汚れないポイントに絞って説明します。

刷毛の末端部分(毛先から一番遠い部分)を持つことによって、物理的に塗料との接触距離を離すことができます。

末端部分を持った場合
毛先側を持った場合

その結果として、刷毛についた塗料が手袋に付着する機会が少なくなり、手袋にも塗料がつかなくなるので、刷毛の持ち手も汚れない。という結果になるんです。

逆に、塗装職人が持つやり方のデメリットも紹介します。

塗装職人が持つやり方のデメリット

塗装職人が持つやり方にもデメリットがあります。ただし、毎日作業する職人レベルになると、このデメリットはないのと一緒です。

塗装職人のやり方によるデメリット
  1. 指先の細かい操作が必要で、刷毛の扱いに慣れるまで操作がぎこちない
  2. 指先で刷毛を操作するため、筋力不足で指が痛くなる場合がある

デメリットが2つありますが、毎日何時間も作業する職人の場合には、刷毛の扱いに慣れるまで使い込んでるのでデメリットになりません。また、指先の筋力不足についても、職人は毎日その部分の筋肉を使っているので痛くなることもほぼありません。

DIYのような日曜大工的に塗装をする方からすると、持ちにくい持ち方かもしれません。ですが、非常にメリットが大きい持ち方なのでぜひ試してほしいです。

つづいて一般の方が持ちがちな刷毛を持つダメな例について紹介します。

一般の方が持ちがちな刷毛を持つダメな例

一般の方が持ちがちな刷毛を持つダメな例は、次の2つがあります。

一般の方がよくやるダメな刷毛の持ち方
  1. 刷毛の持ち手を握る
  2. 持ち手の握る位置が毛先に近い

それぞれ持ち方の例と、ダメな理由について紹介します。まずは刷毛の持ち手を握るやり方についてです。

刷毛の持ち手を握る

刷毛の持ち手を握るのがダメな刷毛の持ち方の1つ目です。次の写真が実際の持ち方の例です。

持ち手を握る持ち方
塗るとき

こんな持ち方していませんか?ダメな理由を紹介します。

ダメな理由

刷毛の持ち手を握るやり方がダメな理由は、次の2つの理由があります。

持ち手を握るやり方がダメな理由
  1. 刷毛の毛先に対して細かい操作ができない
  2. 肩から腕までの全体を使った塗り方になってしまい、非常に疲れやすい

刀や斧などを使用する場合には、持ち手を握り込むやり方でいいのですが、刷毛の場合は先端に毛先という非常に繊細なものがついています。

その毛先を柔軟に扱うためには、刷毛に対して細かい操作ができる必要があるんです。ですので、持ち手を握り込む持ち方は、刷毛の性能を十分に発揮できないのでおすすめしません。

次に、持ち手を握り込む持ち方の場合には、肩から前腕にかけて非常に力が入りやすくなります。

非常に力が必要となる作業の場合には、この持ち方でいいのですが、刷毛の操作にそこまでの力は必要ありません。

次に持ち手の握る位置が毛先に使いやり方について説明します。

持ち手の握る位置が毛先に近い

持ち手の握る位置が毛先に近いやり方もおすすめできません。

毛先に近い位置の持ち方
塗るとき

末端部分を持つやり方と大差ないように感じるかもしれませんが、大差はありませんがその小さな差が大きな結果の変化につながります。

おすすめの持ち方
ダメな持ち方

では、持ち手の握る位置が毛先に近いとダメな理由について説明します。

ダメな理由

持ち手の握る位置が毛先に近いとダメな理由は、次の2つの理由があります。

握る位置が毛先に近いとダメな理由
  1. 持ち手の位置が毛先に近づくほど、持ち手が太くなるので、刷毛の操作量が多くなる
  2. 持ち手が毛先に近づくほど、手袋などに塗料が付着する確率が高くなり道具が汚れる

「刷毛の操作性が向上」という項目でも紹介していますが、刷毛の持ち手は毛先に近づくほど太くなります。その結果、持ち手が毛先に近いほど、刷毛を操作するための操作量が多くなるので負担が増す原因になるんです。

マツ
マツ
職人の場合はこれくらいの指の接触面積で操作します

次に、持ち手が毛先に近づくほど塗料の付着する確率が高くなることについてです。

毛先に近い位置
末端部分の位置

これは刷毛を見れば簡単にわかると思いますが、毛先に塗料をつけて塗っていきます。

職人ではないとなおのこと、持ち手の部分まで塗料が付着する確率が高いです。なので、毛先付近の持ち手を持つと、手袋も汚れるし持ち手も汚れて、刷毛の操作性が悪くなります。

以上で、正しい刷毛の持ち方の紹介を終わりたいと思います。

最後にあとがきを準備しましたので、よければ引き続きご覧ください。

あとがき

私は塗装歴が2022年現在で11年目になりますが、塗装の見習いだった頃は毛先に近い持ち手を持っていました。

手袋は汚れるわ、刷毛の持ち手は汚れるわ、作業着は汚れるわ、さげつ(塗料を入れる容器)は汚れるわでひどい有様でした。

これは職人だから改善したともいえますが、少しずつ慣れないながらも正しいやり方を続けると、楽に綺麗にたくさん塗れるようになっていきました。

職人でもない限り、あまり正しい道具の使い方など教えてくれる人も少ないでしょう。この記事が少しでもそんなあなたの参考になれば幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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