塗装における道具は目地刷毛をはじめ、筋違刷毛やらローラーやらとすべては消耗品です。とはいえ高級品も多く、その代わりに使い捨てのように使われるものも数多くあります。
今回はそんな中でも目地刷毛に絞って、現役塗装屋の私マツが選ぶ現場で使える限界ギリギリの目地刷毛を紹介したいと思います。それと合わせて、使えない目地刷毛の特徴も紹介するのでぜひ引き続きご覧ください。
現場で通用する限界ギリギリの目地刷毛とは
まず現場で通用する限界ギリギリの目地刷毛は何かを紹介します。
- 最低でも目地刷毛に名前が焼き印されているもの
これが現場で通用する限界ギリギリの目地刷毛です。私たちの会社では材料屋さんに注文する時に、「目地刷毛」「刷毛のサイズ」「メジ用の焼き印があるもの」の3点でお願いしています。
それ以外にもしっかりと商品名を区別するために、それぞれ名前がついている刷毛も存在します。無名の刷毛に比べると、名前の焼き印ありの方がしっかりした品質があり、現場で作業しやすくなります。
そもそも現場で通用するとは?
そもそも現場で通用するとはどういうことなんでしょう?少し解説します。
目地刷毛の用途は、基本的に「カドを塗り分けれる」「スミにしっかり塗料を塗れる」の2点を目的に使用します。なので、現場で通用する目地刷毛というのは、その用途をしっかり満たしたものということになります。
現場で通用しない目地刷毛は?
現場で通用しない目地刷毛とは、どういったものになるのか?これは現場で通用する目地刷毛の用途を満たさないものということになります。具体的にはこの2点です。
- カドの塗分けができないもの
- スミにしっかり塗料を塗れないもの
この2点が現場で通用しない目地刷毛になります。具体的にどういった目地刷毛だとこの用途を満たせないか説明します。
現場で通用しない目地刷毛は「毛先のまとまりがなく、毛が開くもの」です。高級な目地刷毛になると、毛先がまとまるで筆のような毛先になります。それが安物の目地刷毛になると逆にお花のようにガバと毛先が開いて、毛先のまとまりがなくなります。
頭で例えると、アフロヘアのように爆発した頭になった感じの目地刷毛です。もちろん刷毛の使い方の上手い・下手によっても毛先のまとまり方は変わってくるんですが、刷毛の良し悪しによってそもそもどういった毛先になるかある程度新品の状態から決まっています。
職人がおすすめしない目地刷毛
私を含め現場の職人がおすすめしない目地刷毛はこれです。
- 無印の目地刷毛
- サイズ表記のみの目地刷毛
この2点の目地刷毛は正直現場では一切使いたくないものになります。口が悪いですが、私は現場でこれをゴミ刷毛という呼び方をします。それくらい現場では使い勝手が悪い刷毛になります。
会社や現場によっては「無印」や「サイズ表記のみ」の目地刷毛を使っている会社もありますが、私個人の意見にはなりますが、仕事に対するこだわりがない会社さんなんだなと感じます。
良い刷毛を選ぶ効果
安い刷毛を選ぶ会社さんなどもありますが、逆に良い刷毛(高価な刷毛)を選ぶとどういった効果があるんでしょうか?
良い刷毛を選ぶと、次のような効果があります。
- カドの塗りわけやスミを塗る作業が早くなる
- 毛先がまとまっているので、一度に適量の塗料を塗ることができる
まず良い刷毛を選ぶことで、塗る作業が格段に速くなります。これは塗装屋さんとしては職人1人あたりの時間単位の売上が上がることにつながります。
会社によっては良い刷毛によって職人1人あたりの売上アップよりも、刷毛のコストアップの方を気にして安い刷毛を選ぶところもあります。ですが、現場仕事で一番コストが高いのは道具の値段よりも人件費です。
今回は人件費の話ではないので詳しい話は省略します。
続いて良い刷毛を選ぶことで、毛先がまとまっていることから多くの塗料を1か所に塗ることができます。逆に毛先が開いた安い刷毛を使用した場合だと、毛先がまとまっていないので同じ量の塗料を刷毛につけても、1か所に多くの塗料を塗ることができません。
良い塗装はある程度同じ塗料の厚みをもたせて保護する必要があります。安い刷毛は良い刷毛と比較して、何度も塗料を塗りなおす必要があるので、作業時間がかかることにつながります。
塗装屋が喜ぶ目地刷毛とは
これは!と塗装屋さんがうなる目地刷毛があるので紹介します。私の記事で何度か紹介させていただいているんですが、「井澤刷毛所」で製造・販売されている「銀嶺」と名前がついている目地刷毛これが最高です。
「銀嶺」の目地刷毛は他の目地刷毛と比べて、少しだけ毛先の長さが短いです。見た目の印象からは、少し塗りにくそうかな?と感じるくらいです。その代わり、毛先のまとまりが抜群によく、カドやスミといった塗り分けが非常に早く作業できる特徴があります。
ただ塗りやすい反面、刷毛の値段が高いのがネックになるのが「銀嶺」の目地刷毛です。もしお金に余裕がある方は、ぜひ1度は試していただきたい目地刷毛になります。
最後に
今回は現役塗装屋が選ぶ現場で使える限界ギリギリの目地刷毛を紹介しました。
どんな目地刷毛を選べばいいのか悩んでいる方の参考になれば幸いです。