塗装屋さんが人が立っていられないような屋根上で作業しているのを見たことがありませんか?
今回はそんな急こう配の屋根で塗装屋さんが現場で使うもの紹介したいと思います。
紹介させてもらう私マツは現役の塗装職人で、塗装歴10年以上の1級塗装技能士です。そんな私がたまーにある急こう配な屋根で会社で使うものを紹介できたらと思います。
急こう配の屋根で塗装屋さんが使う道具
さっそくですが、塗装屋さんが急こう配の屋根で使う道具を紹介します。次の道具を使用します。
それぞれ使い方を含め紹介します。
おもし
あとで紹介する親綱を固定するために、おもしを準備します。私が所属する会社では普段から取引がある鉄工所さんにお願いして、オーダーメイドで鉄骨のおもしを作ってもらいました。重量は15kgでそれが合計4個あります。
基本的には15kgのおもしを2個一緒に使用して、合計30kgのおもしに親綱をつなぐようにしています。15kgのおもし1個だとおもしが支えきれずに浮いてしまう可能性がありますが、合計30kgあると人がぶら下がってもおもしが浮くことはありません。
現場によっては複数親綱を準備することもあるので、2セット分の合計4個のおもしを常備しています。
親綱(30メートル以上)
おもしに固定するのが親綱です。親綱は30メートル以上のものが現場では扱いやすいです。30メートル以下のものだと、長さが足りずに途中でロープを足す必要があります。そうするとロープを足した部分が緩まない必要があり、危険個所が1つ増えることになります。
なので、私が所属する会社では親綱1本でおもしから現場の端まで届くようにしています。
子綱(10メートル以上)
子綱は10メートル以上のものを使用します。この子綱は、親綱の途中につなげて使用するようにしています。屋根の真ん中に親綱を丸めて、子綱をつなげるように細工します。そのつなげた子綱にそれぞれ1名が、次に紹介する傾斜面用ハーネスを使用してぶら下がって作業します。
親綱は1本ですが、子綱は作業する人数分準備しています。現場の作業人数にもよりますが、複数人で作業するときには最低でも人数分の子綱を持っていくようにします。
傾斜面用ハーネス
まず急こう配で安全に作業するために、傾斜面用のハーネスを着用します。これは落下防止の安全策として使用します。
ハーネス着用時の欠点としては、ハーネスに固定されるので基本的に動きづらいです。ハーネスを使い慣れない人は、ハーネスやロープの扱いがわずらわしく大変なようです。とはいっても、危険な急斜面では安全の確保は最優先事項なので、作業する人は全員着用するようにしています。
急斜面の作業のトラブル
急斜面で作業するときのトラブルがいくつかあるので紹介します。
- 子綱が絡まって作業員同士がトラブル
- ロープを取り付けるハーネスの金具を上下逆に取り付けて落下防止のロックが効かない
これは急斜面での作業あるあるかもしれません。動きづらい急斜面でなおかつ使い慣れないロープを複数使用していると、ロープ同士が絡まるトラブルがよくあります。
ロープに作業員がぶら下がった状態で作業していますが、現場を左に行ったり右に行ったりしているうちに、ロープが複雑に絡まってしまうことがよくあります。急斜面での作業はとりあえず落ち着くのが大切で、ロープや道具の絡まりがないか作業の都度確認しながら作業を進める必要があります。
もうひとつ重要でありながら、結構な頻度であるトラブルがハーネスにロープを取り付けるロック機構の金具があります。これのおかげでロープにハーネスがしっかり固定されるので、ずり落ちることなく作業できます。ですが、この金具の上下を逆さに取り付けると、ロックされるはずのハーネスがロックされずにロープがスルスルと抜けてしまいます。
作業のはじめに、ロープにしっかりハーネスがロックされるか確認してから作業を開始しないと、作業の途中で気付いた時には転落事故のあとだったというようなことがあるかもしれません。
幸いにも私が所属する会社で転落事故はありません。作業開始直後にこの金具の取付間違いを見つけて事なきを得たことが何度かあります。こういった確認は念を押しすぎることはないので、作業の都度確認するようにしましょう。
最後に
今回は塗装屋さんが急こう配の屋根での作業に使用する道具を紹介しました。
おもしに関してはもしかしたら手に入りにくいものかもしれませんが、それ以外のものは市販されているものなので、作業に必要でこの記事にたどり着いたのでしたら、ぜひ命を守るためにも準備して作業してください。
記事の最後に再度急こう配の作業に必要な道具を紹介しておきます。